アイヌ民族団体が、地元河川でのサケ漁は先住民族固有の権利(先住権)であるとして、漁業権があることの確認を国と北海道に求めた訴訟の控訴審判決が2日、札幌高裁でありました。斎藤清文裁判長(角井俊文裁判長代読)は、一審・札幌地裁判決を支持し、幸福追求権を定めた憲法13条に基づき、アイヌには固有の文化を享受する権利(文化享有権)があるとする一方、漁業権の確認を求める訴えを退けました。
北海道浦幌町のアイヌ団体「ラポロアイヌネイション」は、国と道に対し、生業として地元河川でサケ漁をする権利の確認を求めていました。一審判決は、文化享有権としてのサケ漁は最大限尊重されるべきとしたものの、漁業権を認める法的根拠はないとして請求を退けていました。
原告側は一審判決について、明治政府がアイヌ集団から河川を奪い、川でのサケ漁も禁止した歴史的経緯を十分に検討していないと批判。歴史や慣習によって成立した先住権は、国際法や憲法でも根拠付けられるとして控訴しました。高裁は、文化享有権としての漁業権が認められるかを検討しました。
原告が求める漁業権を「特定の集団が排他的にサケ漁を営む権利で財産権としての側面が強い」、自由権規約などの国際法の適用については「これらの規定が直接、漁業権を保障するものとは解されない」としました。
その上で、河川は「公共用物」であり、特定の人や集団が固有の権利として漁業を営むことを認めるのは原則許されないとする被告側の主張を認め、「国は特定の場所や期間で漁業権を与えることができるが、それは立法政策の問題」とする一審判決も改めて認定しました。
アイヌ民族には文化を伝承・保存するため、知事の許可を得れば川でのサケ漁が「特別採捕」として認められていることを、「アイヌの人々が文化享有権を有することを踏まえて配慮したもの」として、現行の制度が「文化享有権を不当に制約するものとはいえない」と結論づけました。
